2025.04.18 林会長のお便り

祐介先生、牟田さん、こんばんは。

 

先週の放送で、軽井沢の桜はまだ開花していないけれど18日の放送の頃には咲くのではないかと伝えましたが誠に残念なことにようやく白い花がついたところです。

同じ放送の中で高崎の高齢者と私のやり取りについても書きました。ご主人を亡くして会話をすることがなくなってしまったので最近は声が出にくくなったというものですから、テレビに話しかけてもいいし大声で童謡でも歌ってみたらと進言しました。その時私の言い方が「本当にそうだよね。早速やらせてもらうね」と言ってもらえるような優しさがなかったのか、嫌みに聞こえてしまったのかわかりませんが「やってみるか」という声が聞けなかったということにすべてが集約されているように思います。その対応がいつも祐介先生に「相手が聞いてくれなかったりやってくれなかったりするのは、相手に問題があるのではなく、やってもらえない自分に問題があるのではないか」という考えを話してきました。その言葉を今回はそっくり私に返してもらったということです。そこをついてくれて有り難うございます。その通りです。

私が前回言いたかったのは、そのことよりも看護師さんと新しいスタッフのことを例に出して相手のいうことを「素直に聞いてくれて、素直に反応してくれる」ことがどんなにその人を成長させ、周りの人を勇気づけるかということを強調したかったのです。でも先週の放送を聞いていて、「そうだ。成功体験もいいけれど、失敗例も大切だ」と気づかされました。祐介先生と牟田さんのやり取りを聞いていて若い人のことも大切だけれど、高齢者のことはもっと大切だったと反省しています。むしろやり直しがきかない高齢者にちゃんと聞いてもらえない私の言い方ややり方の方がはるかに問題があったということです。誠に申し訳なかったと思います。

しかも高齢者が人の言うことを素直に聞けなかったり協力してもらえなかったりすれば、今の状況はさらに悪くなってやがて孤立を招いてしまいます。

統計的に見ても人の言うことを素直に聞けない、笑顔が少ない、小さいころ頭を強く打ったことがある、更に歯を抜いたことがある人はアルツハイマー型認知症になる確率が400倍にもなってしまうというイギリスの調査もあるのです。ですから高齢者の孤立の問題というよりもっともっと大きな問題を起こしてしまう可能性のある人に「先生の言うとおりにさせてもらいますね」と言ってもらえなかった私がいかに問題だったかということになります。誠に申し訳ありませんでした。どんな時にも誠心誠意、尽くさなくてはならないということを教えてもらいました。

2025418

医学博士・歯科医師 林 春二