祐介先生、牟田さん、こんばんは。
私達ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアの仲間は年が明けると2月7日~10日にかけて現地のマニラで行う医療活動の準備が最後の追い込みに入り、大変な忙しさになります。特に今年は例年のように物資を1人当たり10キロのパックにして持ち込むことがマニラ側の都合で出来なくなり、全員が自分の荷物の中に混入させていくことになったので余計に大変なことになりました。参加者の皆様が誰一人文句も言わないで協力して下さり本当に有難かったです。
この活動を始めた時から事を成すには急ごしらえではうまくいかないことを身にしみて感じていましたから、事が起こる前からしっかりハブラシ、タオル、石鹸を皆様に呼び掛け物資が100キロ以上集まったところでマニラの方に発送して、いつ何があってもすぐに役立つようにしてきました。この準備をする心構えがいつの間にか「危機管理」という形で身をもってずっと続けることが出来ました。こうした不断の努力の大切さを始めからみんなが理解し、協力してくれたわけではありません。関口団長、祐介先生を筆頭に、木本先生、加藤先生などほんの少しの人達だったような気がします。 ほんの少しだったとしてもこんな老いぼれの私のお願いに不平や不満を言うのではなく、協力してくれた初期の仲間達に改めて感謝したい気持ちでいっぱいになります。
皆さんの「素直な心の」表れでした。もしも現地の活動だけに傾注していたら物資集めの大切さも現地活動に必要なハブラシ、タオルも集まらずそのための出費も必要になってしまったはずです。現地の医療活動はスラムの人達の大きな力になったと思いますが、そこに来ることによって沢山の物資を手にすることが出来、着た切り雀のような生活を強いられている人たちにはとても大きな力になれたと思います。
ある年の事ですが、私達が集めた石鹸はどれくらい役に立っているのか聞くと、一個の石鹸を3年も使ってくれている家族もいることを知りました。私達は早速そのやり方を家でしてみました。水で手をよく洗い、その後石鹸の表面を一こすりすると驚くほど泡が立ち、普段自分たちがいかに無駄で無頓着な使い方をしているのか気づかされました。こんなことも私達がスラムの人達の生活の中から気づかされたことの一つでした。
それからスラムの人達は捨てるものが全くない生活をしています。それなのにハローアルソンの治療が受けられるチケットを配布していると、夫婦が健在の家庭の人は大変な生活をしているにもかかわらず「夫を失くしてしまったあの人にこのチケットを回してあげてください」と人を思う気持ちが強いことを聞かされました。相手を思う気持ちの尊さをこのスラムの人達から教えられ、今まで以上に周囲に呼び掛け物資を集めようというエネルギーに変えられました。それもこれも私達の中に「人のいう事は素直に聞き入れよう」という魂に触れるような天の声を聴くことが出来たからだと思います。
3月22日土曜日、軽井沢の隣町、御代田町にある「エコールみよた」でハローアルソン・フィリピン医療ボランティア2025の報告会があります。どうぞ会場にお越しください。
2025年3月14日 医学博士・歯科医師 林 春二