祐介先生、牟田さん、こんばんは。
素直って本当に難しいと思います。何か仕事をしている時に「すいません、お茶お願いします」と頼まれた時、すぐに「拝」とやってくれる人。これ気分いいですよね。頼んだ人もそれを聞いていた周りの人もいい気分になると思います。たった一言「拝」と言ってくれただけなのにこれだけ大きな影響力を持っています。「素直」とか「拝」という言葉にはこれだけ偉大な力があるのです。
一方で「ちょっとお待ちください」なんて言う場合も少なくありません。特に自分が字を書いている瞬間に「ちょっとお願い」なんて言われるとどうしても「これ書くまで待って」とか言ってすぐに行動に起こせない場合などがあります。これもよくわかりますが、このタイプはどうしても手が離せないわけではなく、もともと「拝」と言えないタイプだと思います。中にはそんな時でも「拝」と言って気持ちよく行動に移してくれる人がいます。その時の気持ち良さは何とも言えません。その人が自分のエゴでなく他者を尊敬する気持ちが周りの人の心を清らかに洗ってくれているからです。
私にも実際こんな経験があります。「先生、患者さんです」と呼ばれた時、あと一字書けば済むと思って「ちょっと待って」などと言って慌てて書こうとすると間違ったり、うまくいかなかったりすることがあり、「なぜ拝と言ってすぐに行かなかったのか」と後悔します。つまり私はいつも皆には「他者を優先した方が良いよ、それが皆さんを幸福に導くんだからね」などと言いながらやっていることは全く逆で、「言行不一致」なのです。「素直」なんて子供でも分かることなのに実際にはなかなか難しいですね。
こんな時周囲の人は口には出しませんが「ほら見ろ、素直に人のいう事を聞かないからだ」中には「いい気味だ」と思っている人も居るかもしれません。これが「拝」と気持ちよくできない人なのです。
さて、ここまで書いてこなかった対応に「これからやります」とか「自分でやれませんか」などと人の頼みをシャットアウトするタイプがいます。こういうタイプの人は人のいう事をもともと素直に受け入れてくれませんから一般的には人に喜ばれるタイプではありません。本当の意味で尊敬されるタイプにはなりにくいでしょう。只、お願いした人はすぐにやってほしいと思っているだけでまさかできない理由やそういう事の善し悪しを考えているわけではありません。単に「ちょっと頼むよ」と哀願しているに過ぎません。そこで「拝」と答えられる人、好人物ですね。次に何かあったらお返しをしたいと思います。お返しをしないまでも誰からも喜ばれますよね。つまりこういうタイプの人は好運の強い人になります。何かある時は必ず周りから手を差し伸べられるでしょう。世の中の事、理由があったり理屈でやらなければならなかったりする訳でなく、人に声をかけられたら「拝」と素直に応じられる人が喜ばれるに決まっています。
素直って本当に大切ですね。
2025年3月7日
医学博士・歯科医師 林 春二