2025.02.28 林会長のお便り

祐介先生、牟田さん、こんばんは。

 

 前回の放送では私のオペが行われる一日前でもしかすると18日(金)の放送に向けて原稿はかけないかもしれないという思いから私の遺言のような内容になってしまいました。あれから一週間が過ぎ、だいぶ回復してきましたので気分もとてもさわやかです。多くの皆様から沢山の御支援の言葉、メッセージ、本当に有難う御座いました。今回の病気を経験して改めて「優しい思いやり」というものがいかに大切かということに気づかされました。

 当初の私の手術は部分切除でしたが、将来のことを考えて全摘ということになりました。当然手術時間も67時間というのが10時間を超えることになり大手術になってしまいました。その間、いつ何があっても判断が出来るようにオペ室のそばで待機してくれていた私の飼い主さんと長男には心から感謝でいっぱいです。もちろんこの長い間オペ終了の連絡を待っていてくれたハロアルメンバーにも心から感謝いたします。

 どんな時でも場所でも不思議な出会いと分かれはあるものだと感じました。

 私のオペ後の経過は決して順調ではなかったと思います。時々襲われる痛みと吐き気に悩まされました。こんな時、私の看護にあたってくれた実習生の鈴木君。木曽(きそ)開田村(かいだむら)の出身だそうですが、とても気持ちの良い看護をしてくれました。血圧、体温、呼吸数など定期的に診てくれるのです。その時一緒に来てくれる先輩の看護師さんと比較すると鈴木君のやり方の方がいかにも男っぽくて少し強引に感じるところがありました。そこで「鈴木君から先に声をかけた方が良いよね。そして思いやりのある声の方が良いと思うよ」と話すと、それからの鈴木君は最初に私の右腕にマンシェットを巻いてくれた時、ベッドのふちにマンシェットの一部が絡み強引とも思えるようなやり方で引き上げた時のようなことは全くなくなりました。

 精一杯研修しようと思う鈴木君には患者さんに寄り添う事、思いやることが一連の流れにはなかったのかもしれません。それからの鈴木君は常に「ハイ、こうさせてもらいますね。痛くないですか」と優しい声掛けと動きになってくれ、いつの間にか「鈴木君、次は何時ごろ寄ってくれるんだろうか」と心待ちにするようになってしまいました。

 まさかここで新しい出会いと昨日で研修が終わった鈴木君との別れがあるなんて本当に寂しい限りです。

 こんなにも鈴木君に惹かれるのは鈴木君がこんな老いぼれの言ったことに、素直になって、素直に聞いて、素直に実行してくれたからです。

素直になるということがこれほどまで人の心を和ませて勇気づけてくれるとは、この歳になって大病を患わなければ気づけないなんてなんてダメな私なんでしょう。これからもさらに一層頑張ります。

  2025228

医学博士・歯科医師  林 春二