2025.02.21 林会長のお便り

祐介先生、牟田さん、こんばんは。

 

私は来院するどの患者さんにもフィリピンではハブラシ、タオル、石鹸が無くて困っている人がいること、しかもそれらを手に入れるためにある人は前日から、3時間も4時間もかけて会場に来てくれること、その人達が予想以上に多ければそれだけ時間をかけて来てくれてもハブラシ一本ももらえない人も居ることなどを診療の合間に話しています。祐介先生は昔、私と一緒に診療をしていて共にライオンズのフィリピンアクティビティに参加してくれました。私が祐介先生にこの活動に参加してもらいたいと思ったのは、その頃一緒に働いていた大石浩三先生、梨本博子先生、山本恵理子先生達もこの活動に参加していたので、共通の話題としても歯医者の在り方としてもこの活動が祐介先生の将来に大きく影響を出すことは目に見えるようにわかっていたからです。

祐介先生は私の甥ですから誰よりも素晴らしい先生になってほしいと思っていました。当時祐介先生は横浜の歯科医院で非常勤の勤務医をしていました。そこである癌患者さんを診ることになり、その相談を私にしてくれました。学生の頃は私のところによく出入りしていたのに卒業すると同時に音楽の道に進んでしまい、私とは音信不通になっていたので本当に不思議でした。

 一生に一度しか会えないかもしれないその人のX線写真にしても模型にしても「一生に一度」という思いはみじんも感じられないようなものでした。すぐに祐介先生に「もっとしっかりした資料を送りなさい」と連絡すると、そんなにかからないうちにしっかりとした資料が届きました。ポーセレンブリッジ、ポーセレン冠とパーシャルデンチャーの組み合わせ、インプラントなどいくつかの治療法が考えられましたが、最終的には癌患者さんであること、その体力を支えしっかり予防ができることを考えるとコンフォートブリッジ以外はないということで患者さんに説明をして治療を進めました。

 治療はトントンといくこともありますがこの患者さんは最終段階で通院が出来なくなり困難を極めました。私は祐介先生に通院できなくなったら祐介先生が行ってやればいいじゃないかとアドバイスもしました。

 この「一生に一度」という経験も「困っていたら協力してやれ」という考えも「ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアの精神」と全く同じです。この活動に参加してからの祐介先生、そして関口団長やそのメンバーも全員その人の初めのころからすると雲泥の差です。ボランティアは祐介先生の言った通り、「人の為と書いて偽りと読む」ではありません。「ボランティアは人の為ならず。自分の為」だったということです。尽くせば尽くすほど真剣になり、やっている人だけでなく周囲の人の感動を生みます。

 「一生懸命」やれるということは「命がけ」ということです。自分の命が懸かっているのですからいい加減にするわけがありません。ちゃんと結果がついてきます。「一生懸命」に回数の制限はありません。更に一生懸命やってください。期待しています。

  2025221

 

医学博士・歯科医師  林 春二