祐介先生、牟田さんこんばんは。
早いものです。今夜は2025年第2回目の放送ですね。あっという間の一週間でした。
当院では年末の25日に2024年の診療を終え、それから年内は今まで使っていた備品のうち持って行くものと捨てるものに振り分けて引っ越しの準備を進める中でスタッフの一人が退職し、それこそてんてこ舞いの忙しさでした。その間も急患は時々いたので、引っ越しの荷物を避けて治療をしました。45年頑張ってくれた診療室でしたからあそこにもここにもいたるところに愛着があって、皆の手で必要なもの、不要なものと振り分けられ、悲しさが込みあげました。私の自宅には80年間の思い出がいっぱいに詰まったものや、大好きだった母が99年間蓄えてきた品々がありますのでどこから手を付けたらいいのか思案しています。正月に新診療所に出勤してくれるスタッフもいて、倅の康二も毎日整理で忙しかったようです。
私の方は旧診療所から移動した品々を改めて整理し、何とか自分の居場所が出来上がりました。開業前日になると倅の友人たちから鉢植えが届き始め、あんなに広かった待合室や診療室内の棚は所狭しにきれいな胡蝶蘭や観葉植物で飾られてまるで花屋さんかと思うほどになってしまいました。
6日、今までの診療室は靴を履き替えてスリッパでしたが、今回は下履きのまま診療室に入ってもらえる設計になっていますので患者さんは驚いていました。今までのようにオープンスペースで隣の患者さんと談笑できるような作りではなく、頭が隠れるようなパーテーションで区切られていますので患者さんによっては「ちょっとよそ行きの感じがしてなんか緊張しちゃうね」なんていう人もいました。
私は一日一日と仕事量が減っていくと思いますが若い人たちに負けないように、今まで当院を選択してくれた患者さんが「やっぱりここを選択してよかった」と思ってもらえるように心配りをしようと思います。
健康で活発な人達にとって自分のリズムやスピードはとても大切です。ところが体に障害があったり、精神的な問題があったりする人にはむしろこういうスピードや生産性などという言葉はむしろストレスが増すだけです。施設が林の中や海辺の穏やかな空気を味わえる場所にあるのはストレスを解消することが病気治療の基本に置かれているからです。
新しい診療所になって「イケイケどんどん」の気持ちはわかりますが、ここに通ってくれている患者さんにとって「良かった」と思ってもらえるような優しい思いやりのあるスタッフになってほしいと思います。今までは何かあると「古い診療所だから」「先生の考えが古いから」と責任を丸投げできる人や物があったからいいですが、これからすべて自分たちがその責任を負うことになります。謙虚になってほしいです。「素直なって」「素直に聞いて」「素直に実行する」ことを全ての場面で実践してもらいたいと思います。 2025年1月10日
医学博士・歯科医師 林 春二