2024.08.30 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

 

今夜は8月最後の番組です。今月もご苦労様でした。西日本は台風10号の影響を受けて大変な思いをされていると思います。お見舞い申し上げます。くれぐれも安全に気をつけて下さい。(いのち)あってのもの(たね)です。生きてさえいればこれからやり直すこともできますから身の安全を最優先してもらいたいと思います。

ゲリラ豪雨の影響を受けた皆様の口から「生まれて初めてだ」「こんな経験したことがない」「これからどうしていいかわからない」などという言葉を今回も聞かされました。2011311日に起こった東北地震の時も全く同じでした。

地震に限らずどんな災害であっても被災者の口をついて出てくるのは「こんなことは初めてだ」という言葉です。もう以前のような災害ではありません。もっと大きくてひどい災害が今度は皆様の住んでいる地区で発生する確率が非常に高いのです。そんな時泣き言を言っても手遅れです。今日からみんなで何かあった時は市町村や都道府県に頼るだけでなく、国から強い指導力をもって被災前の状況まで回復できるように万全を期してほしいのです。それが最も進んだ先進国のやり方なのではないでしょうか。

衣食住が足りて初めて能力が発揮できます。生まれて初めて大きな災害を受けてショックを受けている人に自己責任を押し付け、「自分で後始末をしろ」というのはあまりにも酷です。以前よりよくする必要はありません。元の状態に戻すだけでいいのです。そこで働けるようになればやる気も出てきて今まで以上に頑張ってくれるでしょう。結果として経済効果も上がり、税収も増えます。被災者も国もwin-winになります。一挙(いっきょ)両得(りょうとく)プラスの効果になります。

今の政府は福祉の問題に限らず本人に責任を押し付けて支援しません。政府の負担は減るかもしれませんが、本人の負担が増えた結果消費も下がります。つまり経済効果が下がるということになり、最終的には税収も無くなるのです。両成敗(りょうせいばい)となりマイナスの効果しか生みません。

災害復興に関わる費用はそこで生活する人たちの基本的な人権の保障の問題なのです。基本的な人権を守るために最低限度の文化的な生活が営めるように地域や個人住宅の復旧は国は責任を持って力を注ぐべきです。明日は我が身、いつ自分が被災者になるか分かりません。被災者だけでなく、全国民が声をそろえて被災者救済を訴えましょう。これこそ国が取り組む最優先課題なのです。

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医学博士・歯科医師  林 春二