2024.07.05 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

 

今日は軽井沢の別荘地の樹々(きぎ)の話をしたいと思います。中には樹齢100年を超えたような大木(たいぼく)が沢山あります。その木の下にはまだ生えてから数年しかたっていないような木もあって、妙にバランスよく共存しているだけでなくその木の下は(こけ)がビッシリと生えてとても美しいです。とてもこの世の風景とは思えない所も軽井沢の素晴らしさを引き立てているのだと思います。

全てが100年を超えた木だけでは味気ないですが、若々しい木があると更にその大きな木が素晴らしく見えるものです。もしもこの大木を切ってしまい若々しい木だけにしてしまったら、この木陰も今の様には出来ません。日当たりが良くなりますから芝庭(しばにわ)にでもすればいいですが、苔の庭と芝の庭では(おもむき)が全く違ってしまいます。

場所によっては道の左右の樹々がお互いに枝を伸ばして木のトンネルになっている所もあります。これも素晴らしいですよ。これが不思議なことに左右の木の樹齢が同じくらいだと枝の長さは道の中央の辺りになり、ちょうど二等分したようになります。南北に走る道であっても東西に走る道であっても全く同じです。本来、太陽の光が充分に当たる道路の北側の道の枝の方が良く伸びるはずなのに、そうならないのです。これが木の植えられた時期が違うと早く植えられた木の枝は道の中央を乗り越えています。

私はこういう様子を見て、自然界はお互いに協力しあったり、遠慮しあったりして人間よりはるかにバランスよく生きているのだなと思います。

今は東京都知事選真っただ中です。大木は枝がお互いの邪魔をしないように、時には遠慮したり、時には協力し合ったりして絵に描いたようにバランスよく育ってくれるのです。東京都は神宮の森の樹々の伐採が問題になっています。こうして何十年にも渡って作られた樹々には歴史と文化がしみ込んでいるのです。伐採された樹々には一本一本がそういう歴史を持っているのですから、代わりの若い木を植えたとしても、同じ樹齢の同じ種類の木を植えたとしても今の(おもむき)が出せるはずがないのです。今ある木は大切に守りましょう。こんなことにお金を使わないで、都民の中に満足な食事が摂れない人達がいるのですからそういう人達のために生きたお金の使い方をして欲しいものです。

自然界にある樹々でさえ譲り合って、他の樹々の邪魔にならないように配慮していることを考えれば、知事として弱い立場の人に配慮するのは当然の事なのではないでしょうか。都民の皆様は4年に1度のチャンスです。今までのやり方が良いのか、それとも全く違う考え方をしてもらうのか、とても良いチャンスです。くれぐれも同じ轍を踏まないようにしっかりした考え方で選挙に行ってください。

 

202475

医学博士・歯科医師  林 春二