2924.03.22 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

 

 ハローアルソン・フィリピン医療ボランティア2024報告会はいよいよ明日に迫りました。今年の27日~10日にかけて参加者101名でやった活動がまだはっきり、くっきり目に焼きついています。目の前に広がる日常の日本では全く見ることのできないことが展開され、初めて参加してくれた人には大きな驚きがあったのではないでしょうか。

 ボランティアは目の前に困った人、援助の必要な人がいるのですから、なんとかしてやりたいとすぐに協力したくなる即効性があります。しかしあくまでも非日常ですから、恵まれた環境の中に戻ってしまうと驚くぐらいあっさりと忘れてしまいます。中には涙した人もいたと思うのですが、何も問題がないあたり前の生活が出来る日本に帰ってくるとあっという間に忘れ去られてしまいます。中にはそういう自分が悲しいと言ってくれる人もいてくれてうれしいですが、大方の人はそんなことにも気づかないで、当り前の日常生活を謳歌している人の方が多いかもしれません。この活動に参加してくれた人には現地で何度もお願いしましたが、周りの人に事あるごとに話してもらいたいということを思い出して欲しいのです。痛いというだけで大切な歯を抜いて欲しいという人がなんと多いことか、そして名入りのタオルや今では余り目にすることがなくなった固形石鹸をもらって喜んでいた人達の姿を見た時の驚きを思い起こして欲しいです。その光景を見た時、なんとかわいそうなのか、何とかならないのかと思った自分の気持ちを忘れてしまっていいのでしょうか。そしてそれを体験した人がこんなに恵まれている日本で何もしなくてもいいのかということを・・・。そのことを自分の周りの人達に話してもらいたいのです。あんな狭い場所でどうやって寝るのだろうかと思った人たちが、あんなにきれいな瞳で笑顔いっぱいなのはなぜだろうかと不思議に思ったことを・・・。

 明日の報告会では、参加した高校生達や一般参加した皆さんは、私達が日常生活に流されている中で発表に向けて原稿を書いたり、スライドを選んだりしてこの2ヶ月を有効に使っていてくれていたのです。そして今回報告会に参加してくれる皆様の中には自主的に来てくれる人もいますが、ほとんどの人は報告会のチケットを無理矢理押し付けられるように協力させられた人の方が多いのではないかと思います。しかしこの報告会に参加してみるとこんなにすごい事をしているのか、高校生の発表がこんなに感動的なのかびっくりするでしょう。どんなことでも自らみつけてコツコツやりとげる人はそんなに多いとは思えません。むしろ無理矢理押し付けられてやっている内にこんなにいいものだったのかと判ることの方が多いと思います。

 現地で感動をしたことを人に話している内にどんどんはっきり思い出して、あの感動が忘れようとしても忘れられない出来事になって、いつも人のために尽くす周りの人から見ると素晴らしいと言われるような人になるのではないかと思うのです。

 2024322

医学博士・歯科医師  林 春二