祐介先生、牟田さんこんばんは。
先週の土曜日、軽井沢中央公民館で行われたハローアルソンの仲間で行なっている飛翔会、御苦労様でした。岡山県、愛知県、東京都、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県から41名が参加してくれました。
歯科関係者だけではなく、朝日新聞に40年近く奉職されていた政治部の記者さん、ジャーナリストの方々も参加してくれ、「プロパガンダと検閲の時代」について講演してくれました。今の日本のマスコミの状況は当然のこととして世界中でも戦争が起こり一国の問題としてだけでは解決出来ない状態になっています。目先のことだけ見ていると大海や、大空のあることを忘れてしまいそうです。特に歯科は口の中の小さな咀嚼器官を相手にしているので何百倍にも拡大して見ないと判りません。「歯科」も「全身との関わり」、「社会や環境」との結びつき、「日本だけでなく世界の中の一員」として考えるならば全く関係ないどころか大きな関係があります。
「森を見て木を見ない」のでなく、一本一本の木を見ながら全体としての森を見る広い視野が必要なことも考えさせられました。少し前まで「近視眼的な見方」とか、これとは反対に「大局的な見方」という表現がされましたが、一つの事象を肯定するにしても反対するにしても多方向からしっかり考えなくてはならないと思います。そういう意味で今回の飛翔会は11回以上続いているので症例の選択も発表の仕方についてもとても良かったです。
特に印象的だったのは祐介先生の「それでも抜かない訳がある2023」、団長、関口先生の「本年度当院における抜去歯の経過と考察、および歯科用のCTを用いた再植治療の展望」というテーマでした。二人共に「歯は命の源」という考えで歯を残す治療については誰よりもすごい能力を持っていますが、実際の診療室では逆の結果になることも少なくありません。どうしてかと言うと患者さん一人一人が余りにも違うからです。例えば歯ミガキにしてもそうです。食べ物にしても硬いものが好きという人がいるかと思えば軟らかいものがいいという人もいます。野菜が好きと言っても生野菜が好きな人もいれば温野菜が好きな人もいます。通院にしても約束の日には必ず来る人、直前になってキャンセルする人もいて同じ通院でも一人一人全く違うのです。同じ歯であっても形も大きさもバラバラですし、人によっては若い人、年輩の人、男の人、女の人様々です。年齢によって免疫力も回復力も違いすぎます。「再植」の位置によっても負担の小さな歯もあれば大きい歯もあってこれも一様にはいきません。ですから全てが同じ経過を辿ることなどないのです。「歯を抜かなければいけない」と言われた歯を「再植」によって例え何年かでも先に伸ばせたら、もっと「すごい治療法」が出てくる可能性があります。だから一分一秒でも延命する必要があるのです。
2023年12月8日
医学博士・歯科医師 林 春二