祐介先生、牟田さん こんばんは
日に日に寒くなってきました。
私の地元栃木県那須でもようやく冬らしくなり、診療室も暖房を入れ始めました。
私の家でもすでに毛布をだし、夜はヒーターを入れないと寒くて寝られません。
そんな寒い日が続く中、昨日の水曜日、私の81歳になる叔母が心不全のため亡くなりました。
その日、私は水曜日で仕事が休みでした。朝7時、私の携帯に警備会社から叔母の自宅で在宅中にも関わらず12時間以上部屋の体動センサーが感知しない、と連絡を受けました。叔母は現在一人暮らしでした。私の家からは車で30分程度でしたが、娘は15年前に癌でなくなったため、その孫娘2人を一人で育て、その二人も今ではいわき市、仙台市にお嫁に行ったために、警備会社に頼み、数年前から自宅にセンサーを取り付けました。私が駆けつけると既に家の中には警備会社と共に救急隊や警察官が何人も待機しており、中に入ると叔母は浴槽に、まるでまだ湯船につかっているように亡くなっていました。死因は恐らく急性の心不全とみられ以前から少し心臓が悪かったせいもあったと思います。叔母は那須ではとても有名はハムやソーセージを製造する大きな会社を経営していました。しかし跡取りがいないため3年前に会社を売却し、今では毎日体操や趣味の教室に通っており、10日前も自分で運転しながら私の医院に治療に来ていました。幼い頃から私をとても可愛がってくれ、ハロアルの募金箱も自作で作り、販売店に置いてくれていました。
その叔母がたった一人浴槽で亡くなっているのを見て私は悲しさと共に、この国の超高齢者社会の縮図を見ているようでした。
その夜、警察署での検視が終わり、私の弟の葬儀屋のスタッフたちが自宅に叔母を運んでくれました。そして納棺師が経帷子(きょうかたびら)や死化粧(しけしょう)をおこなうのですが、叔母の入れ歯がないことに気づきました。そして洗面台にきれいに洗ってある私が作ったコンフォート・ブリッジを装着するのですが、死後硬直をしてなかなか口に入れられません。私はそばで見守りながら、「私が入れましょうか」と尋ねると、納棺師の方が「先生、私は今までに1万人以上ご遺体に携わらせていただいていますが、このタイプの入れ歯は見たことがありません。」と言い、私が説明をしながら装着をすると、「先生、これはとてもいい入れ歯なんでしょうね。ピッタリ入って、素人の私でもこの良さがわかる気がします。」と言ってくれ、私は生前、叔母と食事をするといつもビールを飲みながら大好きなエビフライを食べていたことを思い出しました。
明日通夜をやり、家族だけで見送ることにしました。息子も今夜帰省します。
お世話になった叔母に皆で最後のお別れをしようと思います。
2023年11月17日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人