2023.09.01 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

 先週金曜日は福島原発事故の「汚染水」を、放射性物質を除去したことにして海洋放出した翌日でした。それから1週間経って状況が思ったより悪くなっています。

 もう一回この「汚染水」について考えてみましょう。世界中の原発から排出されている冷却水は直接核燃料に触れていないのでトリチウムだけが含まれているだけです。しかし福島の原発の冷却水は直接核燃料(核燃料デブリ)に触れてしまっているのです。その冷却水にはトリチウムだけでなくストロンチウム、セシウム、ヨウ素131などが含まれている為これらの核種を除去するためにALPS(アルプス)という除去装置を使っています。ところがこのALPSを通しても7割が基準値を上回っているため二次処理をALPSで行ない、海水で薄めて海洋放出をしているから安全だというのが政府と東電の言い分です。この信憑性(しんぴょうせい)に疑問符がつけられています。

 今回私達が新聞報道やTVで聞かされているのはこのやり方をIAEAが承認したと言っていますがIAEAは政府と東電の出した資料の通り放出するということに、「そういうやり方ならいいですね」と言っただけで調査や審査をしてOKしたのではありません。ここに大きな問題があります。1次のALPSで処理して7割が基準値を上回っているものが、2次のALPSで処理したら全て基準値以下になったというデータがありません。どの位問題なのかも全く分からないのです。それをどんなに薄めても有害な物質が30年以上、ことによったら100年以上放出されるのですから問題は次第に大きくなります。これが今中国との間で問題になっている点です。

 私は今回の騒動は全て政府と東電にあると思います。もし問題がないなら2ALPS処理後のデータを公開して納得させるべきです。これが科学的な検証です。それが出るまでは海洋放出は直にストップすべきです。

 今週の月曜日に祐介先生と長野県上田市にある上田染谷丘高校に講演に行って来ました。久々に祐介先生の講演を聞きましたが、分かりやすくとても興味深い内容でとてもよかったと思います。講演の中で3.11東日本大震災の話に触れましたが、話を聞いている合間に窓の外を見るとそこに311のナンバーが見えました。偶然と言えばそうなのですが余りにも印象的でしたので祐介先生の話が終ってから教室内にいた三人の先生にお聞きしたら教頭先生の車でした。あの日の講演に出ていた学生には忘れ難い思い出になったのではないかと思います。参加してくれた学生の中から何人の学生がハローアルソン・フィリピン医療ボランティアに参加してくれるか楽しみです。

 

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医学博士・歯科医師  林 春二