2022.12.23 関口団長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

明日はクリスマスイブ。東京のイルミネーションは凄いですね。

私の地元栃木県那須でも新幹線が停車する那須塩原駅前のイチョウ通りには、田舎ができる最大限のライトアップをやっていますが、夜など誰もそこを歩く人はおらず、逆にそんな時間に外を歩けば、寒さで確実に凍死します。しかし、派手ではありませんが、冬の寒空の下、静かな町にほのぼのとした光もまた、なんとも心が癒されます。

私は毎年この時期になるとハロアル2006年に活動したナギャントック村を思い出します。祐介先生はどうでしょうか。

あの年、いつもは2月に行われる活動が、現地からの要請(ようせい)12月に行われましたね。

それは私たちが支援していた村、というよりも、マニラから車で6時間、そこから漁船で1時間に位置する漁村が、翌年には行政の政策により全島民が離党勧告を受け、村が消滅する事態になりました。12月と言えばクリスマス。私たちは医療器具や物資の他にぬいぐるみや文房具などのプレゼント、そしてサンタクロースの衣装まで準備をして向かいました。あの年の活動は今でも鮮明に覚えています。

村のリーダーが私に言いました。「この国では貧困のため学校にも通えず、幼いころから親の仕事を手伝ったり、町ではゴミを拾い、物乞いをして生きなければならない子供たちが沢山います。クリスマスにはサンタがプレゼントを持ってきてくれることも知っていますが、どんなに願ってもこの子たちにはサンタは来ません。ハロアルの皆さんが今日、治療をしてくれ、プレゼントまで持ってきてくれたことは一生忘れることはないでしょう。」私はその言葉を聞きながら、胸が詰まる思いで子供たちの治療をしました。そして、私がこの活動を続ける決意ともなった10歳の少女に出会いました。彼女は私が力及ばず痛みを取るために大切な歯を抜いたにも関わらず、血の付いたガーゼを噛みながら、「先生、ありがとう。私、大きくなったら先生みたいな歯医者さんになりたい。」と言いました。クリスマスのネオンに包まれ、多くの方が愛する人と食事や幸せな時間を過ごせる一方、そのネオンの下、今日もゴミを拾い生きている子供たちがいます。

今、2019年からコロナの影響で世界では貧困に苦しむ子供たちが約1億人増加しているといいます。私たちが支援をしているフィリピンのスラムだけではなく、ロシアの武力侵攻によりウクライナでは今も爆弾に怯え恐怖と悲しみの中多くの子供たちが苦しんでいます。それは国外だけではありません。日本の子供たちは7人に1人が貧困と言われ、2週間に1人の赤ちゃんが遺棄や虐待で死亡しているのです。

子供たちの涙ほど悲しいことはなく、子供たちの笑顔ほど尊いものはありません。

たとえハロアルの力は小さくても精いっぱいこれからも支援していきたいと思います。

聖なる夜、幸せと平和を祈りながら、私も大切な人と静かに過ごしたいと思います。

 

20221223日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人