祐介先生、牟田さんこんばんは
10月29日の深夜、韓国ソウル・梨泰院(イテウォン)で起きた事故は本当に痛ましい限りです。犠牲になられた方々、そしてそのご家族に心からの哀悼を捧げます。
150人以上の人達、しかもそのほとんどが若者であり、楽しいはずのハロウィンの夜が一変して大惨事となってしまいました。報道やテレビでは様々な検証や責任の問題が言われていますが、現代社会を反映するようにSNSなどでは犯人がりや魔女狩りのような言葉まで飛び交っています。
私はこの事故が報道された時、子供たちに「君子危うきに近寄らず」という言葉を話しました。親なら当然の気持ちだと思います。勿論、様々なご意見はあるでしょう。
しかし、大衆による群集心理は本当に危険で、わかっていても危機管理能力が著しく低下してしまいます。ましてやこのような「楽しいこと」は大人でさえ歯止めが利かない人間もいるのに、まだまだ社会的経験の少ない子供たち、若者にとっては生死を分けるほどの危険性を伴います。
私には正直、ハロウィン自体に興味もなく、ましてや仮装をして街中をグルグル回ることに全く理解ができません。しかし、映像では若者が渋谷で思い思いの格好で楽しそうにしているのを見ると、理解はできなくても、嫌な気持ちにはならず、不思議と彼らの笑顔でこちらも楽しい気持ちになります。そんな未来ある若者がこんなような命の終わり方、なかには立ったまま圧迫死をしたという報道もあり、本当にいたたまれない気持ちでいっぱいです。
どうか彼らの死を少しでも未来につなげるならば、この事故をしっかりと教訓にし、そしてやはり危ないところや危なくなりそうな時にはなるべくそれらを回避する勇気も大切だと思います。しかし、この痛ましい事故の次の日には日本でもハロウィン当日を迎えていました。渋谷では沢山の若者、外国人が楽しそうにしていましたが、その中である若者のインタビューが心に残りました。
「私たちがこうやって楽しく自由にできるのも日本の警察の皆さんのおかげです。」
私はその言葉がとても印象的でした。一見、DJポリスなどと面白おかしく報道されていますが、実は警察官一人、一人の努力のおかげでもあることを再認識し、そしてそれを理解している人たちも多くいることに、なんとも心が救われるような気持ちになりました。コロナ禍が続く中ようやく規制が緩和され、このようなイベントや音楽、芸術、スポーツなど今まで我慢をしてきたものが少しずつ以前の賑わいを取り戻しつつあります。しかし、どうか感染防止と安全面には十分気をつけて楽しみましょう。そしてそれを支えてくれる人たちや今なお医療の最前線で奮闘する方々の存在を忘れてはいけないと思います。
2022年11月4日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人