祐介先生、牟田さんこんばんは
いよいよ私の地元栃木県も2月20日まで「まん延防止等重点措置」の対象となりました。すでに飲食店を営む友人や知人からは諦めのような言葉しか聞こえてきません。
この政策が正しいのかどうかを判断するのは難しいとは思いますが、この2年間で6回も大きな感染拡大があり、しかも確実に次が来ると言われているにも関わらず、同じような策しか提示できないのは、もはや今の日本の政治力ではこれが限界なのでしょうか。
いずれにせよ、まだまだ続く感染予防に十分気を付けなければいけませんね。
さて、先日とても考えさせられる事件がありました。
栃木県JR宇都宮線の車内で喫煙をしていた28歳の男性に17歳の男子高校生が注意をしたところ、殴る蹴るの暴行をし、頬骨骨折などの重症を負わせた事件です。
実はこの男子高校生とは面識なないものの、私の息子は地元も同じ同級生で、この事件の当日、息子とこの事について話す機会がありました。
祐介先生、この事件は色々な意味で考えさせられます。まず、この勇気ある高校生の行動は素晴らしいものであることは間違いありません。しかし、電車の車内でシートに
寝転がりながらタバコを吸うことができる輩は、もはや人間社会のルールに適応できないケダモノと同じです。ある番組では「こういうのには関わらない方がいい」とも言っていました。同じ親として子どもの立派な行動がこのような理不尽でやるせない結果になり、命の危機も考えられるとするならば、「君子危うきに近寄らず」と教えるのが正しいのでしょうか。
息子が私に尋ねました。「こういう時はどうすればいいのかな。」私は少し考えて言いました。「「義を見てせざるは勇無きなり」と言う言葉がある。正しい事と分かっていながらそれをやらないのは勇気がない証だ。しかし、正しくともそれをした結果、このように我が子が傷つけられたらやはり親としては言葉にできないほどの感情になる。」「ただ言えることは、この勇気ある行動に対して、周囲の大人たちが何をしていたのだろうか。」
「間違ったこと、悪いことが、まかり通る世の中は絶対によくない。この容疑者は言語道断だが、これを見て見ぬふりした者がいればそれも情けない話だ。せめて周囲の大人が勇気を出して立ち上がれば違う結果になっただろう。」そして私は息子に問いました。
「お前ならどうする。」息子は「俺も注意すると思う。」と言いました。私はその覚悟がどれほど大変なことかは知っていますが、あえて彼に言いました。「どんな時でも正しい決断をする時こそ男として、人としての真価が問われる。もしお前がこの高校生のような結果になったとしても、全ての感情を押し殺して父親として我が子の行動を誇りに思うだろう。」さて、祐介先生、あなたはどう思いますか?しかし、何という世の中でしょうね。今は一刻も早くこの高校生の心と体の傷が癒されることを祈るばかりです。
2022年1月28日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人