祐介先生、牟田さんこんばんは
私の地元栃木県那須では昨晩から急激に冷え込み、朝窓を開けると外は一面、銀世界となっていました。
そんな中、路面は凍り運転も危険な状態でも沢山の方がご来院くださり、昨晩は大雪のなか、段ボールにハロアルの物資をいっぱいに詰めて持ってきて下さる方もいらっしゃいました。
祐介先生、歯科医院を開院していれば、ある意味ではその医院が支持されれば患者さんはご来院してくださいます。しかし、もしこのボランティアを私がやっていなければ、
雪道の中届けて下さる患者さんとの温かな交流や、歯医者と患者さんの枠を超えた
人と人との優しさの絆を感じることはありません。ボランティアは無償の行為といいますが、ハロアルの活動はやればやるほど実は沢山の物を私自身が頂いています。
今、コロナ禍の為、ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアの現地活動は今年も延期となっており、2020年の活動を最後に2年間現地に行くことはできません。
しかし地域の方々や患者さんたちはその事を承知したうえで、いつか再開する日のためにコツコツと物資を届けて下さいます。また先日は県南の方から普通為替で募金が送られ、お手紙には「長年のフィリピンへのご奉仕に敬意を表します」と書かれていました。
本当に有難いことですね。私の所だけではなく、全国のハロアル支部を中心に沢山の人達が思いを繋いでくれていることに心から感謝しています。
以前の放送で祐介先生がお正月休みを返上して患者さんの治療にあたった話をされていましたね。放送中祐介先生が「だって歯医者なんだから」と言った言葉はとても意味深く、私の心にも刺さりました。その放送から数日後のことです。診療が終わり最後の患者さんが帰ろうとしたとき、1本の電話が鳴りました。聞くと隣町に住む方からで、5歳の子供が転倒して顎と歯を打ち付け出血があるとのことでした。勿論すぐに来てもらうように伝え、無事治療を終えました。そして翌日、今度は別の方から小学1年生の子供が歯の痛みで食事もとれないと、診療を終えスタッフも片付けをしている最中に連絡を受けました。治療後、お母さんから感謝の言葉をいただくと同時に、「先生が以前からフィリピンの恵まれない子供たちを治療していることを知り、いつか我が子もそういう先生に見てもらいたいと思っていました。」と告げられました。
私は疲れた体から何かが抜けるように幸せな気持ちになると同時に、ふと、祐介先生の言った「だって歯医者なんだから」という言葉が頭をよぎりました。
歯医者だから当たり前ではなく、歯医者だからこそ患者さんにだけはいつも正直でいたい。そしてこんな私にでもボランティアの思いを託してくれる人たちのためにも、いつも誠実でいたいと思った出来事でした。
2022年1月21日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人