祐介先生・牟田さんこんばんは。
昨日は国会衆議院議員会館で開催された “2021歯科総行動”に参加して来ました。参加者は全国160ヶ所でWebで参加した人も含め500名でした。ここで先に行った歯科アンケートの結果が発表されました。
平時の歯科受診状況の設問では、決まった歯科医院での受診87.6%、定期的に通院する66%、痛い時だけ受診する人が38.2%でした。驚いたことに1ヶ月ごとに定期通院している人も38.2%いました。1年に一回受診している人も49.6%でした。これは2人に一人が受診していることになります。早期発見・早期治療という観点からすると、もっと多くの人に受診してもらいたいです。その一方で忙しくて受診できない人も39.4%いました。また現在の世相を反映するかのように費用負担が重いと感じている人も18.2%によりました。5人に一人の割合ですから驚きです。
コロナ禍での治療についての問いでは、気になる症状があって受診した人が27.7%、一方で気になる症状があっても受診していない人が5.7%いること、以前から通院していたのに中断した人4.5%合わせると、10人に一人は必要があっても治療できていないことになります。歯科の病気は自然治癒がないことを考えると大きな問題です。
歯科治療を受ける上で希望することについて聞くと、窓口負担を軽くして欲しい53.1%、すべての治療を保険で受けられるようにして欲しい65.0%でした。また、保険で歯並びを治せるようにして欲しいが33.6%、予防するために受診を気軽にできるようにして欲しいが28.8%ありました。
またこのアンケートでは歯科技工士の問題も提起されました。技工士さんは歯科医院になくてはならない存在ですが技工士の半数以上が過労死ラインを超えています。これは総医療費の中で歯科の占める割合が低いことが問題なのです。安倍総理以来この10年間、医療費は下がりっぱなしです。歯科の治療費は、かつては総医療費に対して10%あったのに現在は7%しかありません。この低医療費政策では歯科医、歯科衛生士、歯科技工士に大きな負担を強要していきます。一方で患者さんからは「窓口負担が大きいので負担を小さくして欲しい」「もっと歯科医院に通いやすくして欲しい」という要望もありますから、政府の財政支援をもっと大きくしてもらいたいです。人間は生きるために歯が必要です。しかも高齢者にとっての楽しみは多くはありません。最大の楽しみは「食べること」です。そのためにも歯科治療を受けやすいように費用負担をしてもらいたいです。「歯は命の源」若い人にとっても大切な咀嚼器官です。歯と歯肉を磨いて丈夫な身体を作りましょう。
前回の原稿の訂正をします。輸送する荷物1つの重さを100㎏と書きましたが、正しくは1つ30㎏でした。
2021年12月17日
医学博士・歯科医師 林 春二