2021.09.10 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

秋らしい陽気になったと思ったら寒いくらいになってしまいました。私の家では早くもストーブに火を入れました。寒いのを我慢しているのと違い、体の芯がホッコリしてとても幸せになりました。

そうした幸せを感じる人がいる一方で命の危険にさらされる人もいます。政変のために、生きることさえ難しくなります。20年間にわたってアフガニスタンを支援してきたアメリカ軍が撤退して、タリバン政権になります。この政変は解放される人が出る一方で、また沢山の人が苦しむことになります。コロナ感染症対策のために失業に追いやられた人が沢山出ている日本とは大違いでしょう。「百聞は一見にしかず」ということわざがありますが、われわれ凡人は経験してみないと合点できないことがあります。

今の日本のようにコロナ禍で大変だといっても、日常生活の中で銃弾が飛び交う恐ろしさとは比較にならないでしょう。ニュースで大きな建物が一瞬の間に破壊されるところを見ただけで戦争の恐ろしさや無意味さが十分わかります。それでもどこか他人事になってしまいます。

つい先ごろまでオリンピック・パラリンピックが開かれていて、私達もお祭り気分になっていました。日本選手の活躍については本当に良かったと思います。皆さんも拍手喝采(かっさい)したことでしょう。それはオリンピック開催の光の部分です。

オリンピック開催には影の部分があります。もう一度思い起こしてみましょう。その1、政府はオリンピックを開催する時期ではない。延長するか中止した方がいいという大きな声を無視して安心安全な大会にするということで開催を強行してしまいました。その2はコロナ禍にあるのだから国会を閉じることなく開催すべきだという声を無視してオリンピック開催前に国会を閉じてしまいました。そのために急増する感染者対策をタイミングよくできなかった責任は重いと思います。その3が一番大きな問題でした。東京にある医療機関の窓に大きな字で「オリンピックはやらないで」という張り紙がありました。1年以上にわたってコロナ治療をしてきた医師、看護師は疲れ切っているところにオリンピック関係者が増えたらどうにもならないと感じていたのでしょう。コロナ対応病院では既にいっぱいいっぱいだったのです。そういう現場の声を聞くこともなくオリンピックを開催してしまったことにあります。もしもこの時オリンピック開催に神経を使わないで、その時間と費用と労力をコロナ病床を増やすために使っていたら医療崩壊にはならなかったでしょう。なんだかんだ言っても政府のやってきた責任は重いといえます。その4です。国民には不要不急の外出はしないでくださいとお願いしながらオリンピックは開催するというダブルスタンダードにしたことです。国民のやる気をいっぺんに奪ってしまいました。そして今、自民党総裁選挙です。同時に国会も開催したらどうなのでしょうか。協力した皆さんへの補償もしっかりやるべきです。

2021910

 

医学博士・歯科医師 林 春二