2021.02.26 林会長のお便り

祐介先生・牟田さんこんばんは。

 23回前にデンマークの話がありました。その際、デンマークの大学の授業料の話が出ました。授業料は無料です。全て国立だからです。それどころか「大学生のための学生年金」が月8万円もらえるのです。そこで大学に入ると親元を離れ、ほとんどの人が自活をします。一人では大変なのでルームメイトを作って生活を支えあうことになります。同性の場合も、異性の場合もあります。どういうルームメイトであったとしても、夜12時までは大学の図書館が開いていますので、ほとんどすべての人がここで勉強をしています。日本のように大学生がアルバイトをしたり、どちらが本業かわからない大学生は一人もいません。図書館でも一人で勉強する時と、グループでディスカッションしながらの勉強があり、コミュニケーション力もアップします。そしてみんなで出した結論はみんなが責任を持って守るというルールをしっかり身につけていきます。これが社会人になってからの大きな違いになると思います。

 私が20年間、毎年デンマークに行く度にお世話になっていた夏代さんは、デンマークの大学生は親に感謝するというより国に感謝をするという風潮が強いと言っていました。大学は全て国立と言いましたが、日本のように学力オンリーでなく、職場体験してその上司からの評価も試験に加味されますので、日本のように高校を卒業してすぐに大学に進学する人ばかりでなく、実社会を経験してから大学に進学する人も少なくなくて、26歳で入学という人も(まれ)ではありません。歯科大学ではさらに上がって29歳くらいで入学する人も多いようです。こういう面からみても、非常に実質的だと考えられます。私は幸か不幸かわかりませんが、商学部と歯科大学を卒業していますのでデンマークの長所がよく理解できます。入学して歯の勉強ばかりしている人と、一般大学で一般教養と専門科目を身に着け、実社会を経験した人では社会に対する考え方が本当に違います。私が「歯科医師である前に社会人として立派に行動できる人であって欲しい」というのはこのことです。ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアに参加してくれる歯科医にはこのことを伝えられるのでとても幸せです。この課題の最高の理解者は団長の関口先生と祐介先生を筆頭に、愛知の加藤先生と岡山の木本先生が続いてくれます。新しい技術や知識の収集は研究会や講習会で可能ですが、社会人としての社会性や人間性を高めるためにはボランティアが最適です。そのボランティアの中でも沢山の人に呼びかけたり、若い人の人生の糧になるようなハローアルソン・フィリピン医療ボランティアは究極のボランティアと言えるでしょう。

 そうそう昨日、前回のハローアルソン2020に参加してくれた上田染谷丘高校の干川愛奈(ほしかわあいな)さんが物資を10㎏集めて診療所に届けてくれました。コロナ禍の中でもタンポポの苗は間違いなく育ってくれていてうれしい限りです。32日には関口団長、祐介先生と私の3人で群馬県の新島学園に講演に行ってきます。

2021226

 

医学博士・歯科医師 林 春二