2020.11.27 林会長のお便り

 祐介先生・牟田さんこんばんは。

 11月も下旬だというのに暖かい日が続きます。私達にとっては有難いですけれど、自然界にとってはどうなのでしょうか。集中豪雨、大型台風と、かつて経験したことのないような気候の変化は驚くばかりです。こうして何度も起こると「未曾有」の災害という言葉が当たり前になってしまい、めったなことには驚かなくなった私達の神経が心配です。昨年は台風15号で千葉県が、そして19号で長野県が大きな被害を受けてしまいました。幸い今年はそういう大きな被害を受けることはありませんでした。

 ところが私達ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアが、毎年現地活動をしているマニラでは111日に台風19号、そして20号、12日の木曜日には21号と10日ばかりの間に大きな台風が次々と上陸し、かつて現地活動をした地区でも大被害を受けてしまいました。スラムの人達は、家も、持ち物も、着る物だって全て身に着けているだけの人達ですから、いったん被害を受けると何もなくなってしまいます。顔を拭くタオルもなければ、汚れを落とす石鹸もありません。もちろん食べる物さえありません。こういう生活が当たり前の人達ですから、めったなことではへこたれませんが、短期間のうちに3回も続いたのではグッタリしているでしょう。

 ハローアルソンの活動を16年間一緒にやってきたラハ・ソライマンロータリークラブでは、すぐに駆け付けることが出来ない私達に代わって、来年2月に行う活動のために送ってあった物資を全て出してくれ、生活の大変なスラムの人達に届けてくれました。緊急事態が起きると、現地のリッキーさんから関口団長のところに連絡が入りますから、現地で何が起きてもタイムラグ無くすぐに支援が出来ます。また現地のロータリークラブにしてもマンパワーはすぐに提供できても、支援する物資を集めてから支援するのでは、やはりタイムラグは生じてしまいます。それがハローアルソン・フィリピン医療ボランティアでは、次の活動のために1年前には次の活動の物資を現地に送ってありますから、こんなに離れているのに全くタイムラグがありません。どこよりも早く一番必要としているものが、すぐに届けられます。つまり「緊急事態対策」、「危機管理」のために、何もない今から「もしあったとしたら」という予測のもとに準備してあるのです。

 そう考えると今回のコロナ対策はどうなのでしょうか。すでにコロナ感染は起こっているのです。だとしたら今、何をしないといけないか、はっきりしています。密にならないように出来る限り出歩かないで、感染を一刻も早く抑えることです。経済対策は危機がなくなってから国民全員で一斉に旅に出たり、外食に出かければ出来ることです。大切なのはまず第一に「命」を守ることです。

20201127

 

医学博士・歯科医師 林 春二