祐介先生、牟田さんこんばんは
秋もすっかり深まり、私の地元栃木県那須では山の木々が、それは見事なまでに鮮やかに色づいています。週末は「紅葉狩り」に大勢の観光客の方が訪れていますが、今、新型コロナウィルス感染拡大の第3波が懸念される中、政府は以前GOTOキャンペーンの見直しを否定しているわけですから、これから冬にかけて私たち一人ひとりが、より一層の感染予防を心掛けないといけませんね。
しかし、連日感染者数ばかりが目立って報道されていますが、先日「いい歯の日」にちなみ祐介先生も言っていましたが、最も大切なのは感染よりもむしろそれを発症させず重症化させない事です。もちろん、基礎疾患をお持ちの方や高齢者などの免疫力の弱い方は十分に気を付けなければなりませんが、マスクや手洗いだけではなく、最大の予防策として「お口の中のケア」すなわち、健康な口腔内の維持がカギとなってきます。
発生当初、世間では「歯科医院が危険」という言葉が独り歩きし、多くの方が歯科医院への通院に二の足を踏んでしまいましたが、むしろ、今まで以上に全国の歯科医院は滅菌、消毒に力を入れ、万全の態勢で臨んでいるはずです。そして、インフルエンザや新型コロナウィルスに共通することはお口の中の菌の増殖によって、それに対抗するために免疫力を使うわけですから、万が一、他の感染症にかかった場合、そちらの病気に対して戦う力が弱まった状態になってしまいます。また、新型コロナウィルスの重症化には歯周病原菌の一つグラム陰性菌に存在するエンドトキシンと呼ばれる毒素が大きく関わっていることが判明しています。すなわち、歯周病の治療、コントロールの徹底が病状の悪化の有無を左右するのです。
私も患者さんたちに、日ごろの歯磨きはもちろんのこと、この時期だからこそ、外出して帰宅したら、まず歯磨きをすることをお勧めしています。
しかし、祐介先生、今、コロナに対して様々なことがわかり始め、私たちの分野である歯科が重要であるにも関わらず、このような知識も歯を磨く歯ブラシさえもないフィリピンのスラムの人たちを支援できない現状は本当に心が痛みますね。
現在は現地活動が延期となってしまいましたが、昨日マニラチームから1500人分の支援物資が完成し届けてくるという連絡をもらいました。写真には皆さんからいただいた歯ブラシやタオルが沢山入っており、私は現地リーダーに歯磨きが感染予防の鍵になることを話しましたが、正直、世界にはマスク一枚、歯ブラシ1本さえも手にすることができずに、正しい情報や十分な医療体制もないまま生きなければならない人たちを考えると、こんなにも恵まれた日本で、欲を抑えきれず、迷惑を顧みず、協力しきれない
一部の人たちを見ると、コロナは人間の浅ましささえ浮き彫りにしているようで、言いようのない気持ちになります。祐介先生、一日も早く活動が再開できればいいですね。
2020年11月13日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人