祐介先生、牟田さんこんばんは
今週は大変ショッキングなニュースがありました。
女優の竹内結子さんがご自宅でお亡くなり、死因は自殺という内容でした。ここ数か月芸能界からこのようなニュースが相次ぎ、私はそれを聞くたびに「何故」と思うと同時に芸能人と呼ばれる人たち特有の深い心の闇の存在を感じてしまうのです。
私は一般、とか、業界とか人間が共に生きる社会を何かと区別する風潮はあまり好きではありませんが、やはりその世界に生きる人たちにしか分かり得ない辛さや孤独があるのでしょうね。ただ、残されたご家族や子供達の悲しみは計り知れません。彼女のご冥福を心から祈ると共に、どうか低俗なマスコミが彼らの悲しみを「下世話な興味」に仕立て上げないことだけを願うばかりです。
以前の放送で祐介先生も言っていたように、今日本は「自殺大国」とも呼ばれ特に10代~40代の死因の一位は断トツで「自殺」です。これは先進国の中でも上位であり、まさに悲劇的現実ともいえます。未来に無限の可能性を秘めた若者たちが「豊か」と呼ばれるこの国で死を選ばなければならないとは本当に悲しい事だとは思いませんか。
私達ハロアルにもこの15年間で沢山の高校生が参加をしました。その中には学校でいじめられている子や、親や友人たちとの深い溝に孤独を感じながら参加する子も少なくはありません。しかし、彼らはたった4日間ですが、日本の全ての生活から離れ、携帯さえ使用できず、年齢も職種も違う大人たちと沢山の同世代の高校生と出会い、あの壮絶な医療現場とたった1本の歯ブラシさえも買うことができない貧困の現実を目の当たりにし、互いに助け合い、多くを語りあうことで、ある事を学びます。
それは「自分は決して一人ではない」ということです。私は決まって彼らに伝えます。「たとえどんなに時代が進み、世の中が利便性、合理性を求めたとしても、決して変わらない物がある。それは人の心と心の繋がりです。たった4日間でも私達はお互いを支え合い仲間になることができました。」「確かにネットで繋がる何百、何千のフォロワーもいいでしょう。しかし、たった一人でもいいから「いいね」のボタンではなくあなたの事を叱咤し激励し、あなたと共に歩んでくれる「友」を作りなさい。」「その友存在がいつかあなたを救い、あなたもまた友を救える人間になりなさい。」私は教育学者や心理学者ではありません。私の言葉が正しいかどうかはわかりませんが、これから高校生たちは社会というある種「孤独の集合体」に身を置く時、中には死を考える子もいるかもしれません。そんな時、ハロアルで学んだ孤独を支え合い、悲しみを分け合う友の大切さを思い出して欲しいと願っています。
しかし、祐介先生、いったい日本はどうしてしまったのでしょうか。いつしか社会は勝ち組負け組などと騒ぎ立て、物質的豊かさを我々大人たちが追及した結果が若者たちが生きづらい社会を作ったとしたら、大人達の犯した罪は本当に深いものだと感じます・・。
2020年10月2日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人