祐介先生・牟田さんこんばんは。
今夜はとっても嬉しい報告があります。毎年恒例になっている本永聖子さんが、石垣島からお土産とハロアルカンパを持って「歯のチェック」に来てくれました。前回当院に来てくれたのは昨年の7月のことです。(チョイボラNo14の22ページ)
聖子さんは今から12年前に石垣島に引っ越して以来、毎年1回は私の診療を受けに石垣島から来てくれています。飛行機代だけでも数万円、宿泊費が数万円かかり、その上治療費ですから10万円以上はゆうにかかってしまいます。そんな大金をかけて毎年この時期になると来てくれるのですから、とてもカンパして欲しいなんて言えません。するとある年、聖子さんのほうから「先生はみんなに声をかけているのに私にはカンパのことを話してくれませんが、私はしてはいけないんでしょうか?」と、悲しそうな顔で聞かれてしまいました。そこで私は「聖子さんは遠くから大金をはたいて信州まで来てくれているのだから、とても頼めなかったんだ」と説明しました。「それじゃいいんですね。私にもカンパさせてください」と言って、真っ白い封筒を差し出してくれました。中にはピン札の1万円が入っていました。以来今年まで、来ると必ず決まって1万円カンパしてくれています。とても清楚で素晴らしい女性でマリア様のようです。
ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアは、第1にフィリピンスラムに住む人達への無料の歯科治療。第2に現地で使うハブラシ、タオル、石鹸を地域の人達に呼び掛けて協力してもらう。第3にこの活動を通して自分の中に眠っている、優しさや思いやりを思い起こしてもらう。第4はこの活動に私達だけでなく高校生にも参加してもらい、優しい思いやりのある国際的な日本人になってもらうという4つの目標を立ててボランティアをしています。無料の歯科治療は歯科医師か歯科衛生士ならば出来ます。歯ブラシやタオル、石鹸などの物資集めはやる気さえ出してくれたら誰でも出来ます。ところがこの活動を通して「日常の自分を見返ったり、自分の在り方を見直して優しい日本人になってもらう」というのはとても難しいと思います。誰だって、「自らを反省したり」「自分を変える努力をする」のはそんなに簡単にはいかないはずです。だからこそ、やってみると価値があるのです。そして高校生と一緒にボランティアをやるために、一人でも多くの人に声をかけてカンパしてもらって、高校生の負担を少なくしてやるというのはものすごく大変です。大変だからこそ意味があります。人のためにカンパをお願いするのですから余程の人でないと出来ないでしょう。しかし私の知っている人で、よくカンパをお願いしてくれる人は、日常の仕事もよく出来ますし、人からも信用される素晴らしい人です。それが関口団長です。その人だってフィリピンの医療ボランティアに出会って、私の頼みを素直に聞いて、素直に実行していく中で磨き上げてくれたのです。今日、紹介した本永聖子さんもそういう中の一人です。リスナーの皆様も周りの人に声をかけて誰からも素晴らしいと言われる人になってもらいたいです。
2020年9月25日
医学博士・歯科医師 林 春二