祐介先生、牟田さんこんばんは
ここ数日の大雨は全国で甚大な被害をもたらしました。特に九州地方では70名近い死者を出し、いまだ行方不明者を含め大変な災害となってしまいました。お亡くなりになられた方々、ご家族、そして被害にあわれた方々に心からお悔やみ申し上げます。
このニュースは世界中で放送され、私たちハロアルが共にフィリピンのスラムで支援している現地チームのリーダー、リッキー氏、ニナ氏からもお悔やみと安否の連絡をいただきました。また、岐阜や長野でも大雨による河川の氾濫で大変な被害となっています。天気予報ではまだまだ大雨が降り、土砂災害の危険性も高いといわれ、どうか早めの避難を心がけ、まずは命を最優先し、十分ご注意なさってください。
祐介先生、連日報道されている熊本県「球磨川」をご存じですか。ここは日本三大急流の一つと言われ、山間から多くの支流が存在し、まるで「九万の川からなる」と言われたことから「球磨川」と呼ばれました。昭和40年7月には大規模な水害が発生し、その後国はダムによる治水計画を発表しましたが、地元の強い反対などで事業は進まず、平成21年民主党鳩山内閣の時に計画を中止しました。私はダム建設が正しいかどうかの判断はできませんが、おそらく地元の方たち、そして古くからあの地で球磨川の恩恵を受け生きてきた人たちは、ダムによる生態系の変化や自然破壊を危惧していたかもしれません。そのおかげか、実はこの球磨川は日本屈指のアユの清流として有名で、なおかつここは「尺アユ」と言われる体長30センチを超えるアユが無数に成長するいわば
鮎釣り師たちの聖地ともいわれる素晴らしい川です。今、日本中の大きな河川のほとんどにはダムがありその数約3000個。これが日本の治水に大きな役割を果たしていると信じたいのですが、その反面ダムは確実に生態系を変化させ、川の濁りは取れにくくします。特に日本の夏の風物詩でもある鮎は秋になると川で産卵し孵化した稚魚は川をくだり河口近くの海で成長し、春になると再び生まれ育った川へと上ってきます。
鮎は年魚ともいわれ、その命はたった1年です。この命の循環はダムによって大きく変わってしまうのは紛れもない事実です。「たかがアユ」「人間の生活のほうが大切」と思われるかもしれません。また、「あんな状況で不謹慎」と思われるかもしれません。
しかし、ダムだけではなく、人間は自然の中で生き、自然に生かされています。
その自然に対しこの豪雨を見れば誰もが「地球温暖化が原因では」と考えるはずです。
球磨川は別名「暴れ川」ともいい、自然の猛威と怒りの被害者が、奇(く)しくも自然を愛し、自然と共に生きてきた球磨村の住民の方々になってしまったと思うと本当に心が痛みます。しかし、私は球磨村の復興を信じています。なぜなら、あの激流と共に生きてこられた人々なのですから・・・。
私もこれから一人の球磨川ファンとしてできることを協力したいと思います。
2020年7月10日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人