祐介先生・牟田さんこんばんは。
7月に入って関東信越から中国・四国・九州。岐阜にかけて大変な大雨が降り、被災された方々に心からお見舞いいたします。その中で九州のある被災された女性が「神様は私たちにどうしろという試練なのでしょうか」と氾濫して流された家の前で淡々とインタビューに答えていた姿がとても心に残りました。
今年に入って新型コロナウイルスに襲われ、これだけでも大変な所に大雨の被害と追い打ちをかけられるような大変な目に遭いながら、「神様はどうしろいうのでしょう」と他を責めず、ジッとわが身におさめている女性の姿は、素直に一刻も早く立ち直って欲しいと願わずにはいられませんでした。
ここ数日にわたって、東京の感染者は100名を超えています。そうしている内に、過去最大の224名を数えてしまいました。先週も書きましたが、明らかに第二波が襲っているのだと思います。その内、20代30代の占める割合が50%をはるかに越えていること。夜の街関連の人達に多いことを考えると、しばらくジッとしていてくれということです。1か月や2か月、家にいたからどうだと言うのでしょう。3・11大震災の後の被災者はもう9年も我慢しているのです。それを考えたら「甘えるな!お前一人のためにある社会じゃないんだぞ!!」という声が、今にも聞こえてきそうな気がします。あの九州の被災女性の「神様は私たちにどうしろというのでしょうか・・・・」と淡々とインタビューに答える姿こそ、私達に求めている別の神様の姿なのだと思わずにはいられません。乗り越えられない苦難などないのです。
この女性の姿は、ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアで応援に行っているフィリピンのスラムの人達に通じるところがあります。食べるものは満足にないスラムの人は自分のことで精一杯のはずなのに、「あの人の方がもっと大変だから、私の分をあの人にまわしてください」という姿に私達は心を震わされてしまいます。そしていつでも何でも手に入れられる豊かな生活をしている自分に、情けなさを覚えてしまうのは私ばかりではないようです。祐介先生が事あるごとに言っている「我先にと奪い合えば足りなくなるし、みんなで分け合えば余る」ということに通じます。
災害は今に始まったわけではありません。山が多く災害の多いのが日本の特徴です。その代わり四季の変化が美しく、おいしい水が豊富にあるのも日本の素晴らしい所なのです。そんな素晴らしい国に普段大した感謝もしないでいることを反省して、こんな時こそみんなで協力して助け合えばすべてがうまくいくのではないでしょうか。コロナの問題にしても、災害にしても、誰かが悪いということではありません。人を責めても変わりません。責めても変わらないのですから、率先して自分がやるしかないのです。これこそ神様が私達に与えてくれた試練なのではないでしょうか。自分だけよければという思いを捨て、みんなでやり繰りして協力してこの難局を乗り越えましょう。
2020年7月10日 医学博士・歯科医師 林 春二