祐介先生こんばんは。
新型コロナウィルスによる感染対策から、全国に緊急事態宣言が発動されたのが、4月16日、期間は5月6日までということでした。しかし国民の誰もが、この日に制限が解除されると思っていなかったと思います。それまで世界各国が取ってきたコロナ対策と、日本のそれには大きな隔たりがあったことに加え、加藤厚労大臣はじめ西村コロナ対策委員長の発表があまりにも空々しく思えていたからです。案の定、安倍総理の口から出たのは「5月いっぱいは緊急事態宣言を延ばす」ということでした。この言葉を聞いても誰一人ビックリしなかったと思います。総理の言葉には、国民を納得させるような威厳に満ちた響はもうなくなっていたからで哀れとしかいえません。飽きれて翌日からは事業を再開する人が溢れていました。
ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアは、マニラ近郊の人々に対する無料の歯科治療と、これからの日本を背負ってくれる高校生達に「真の日本人を見てもらい」自分達のあり方や生き方を学んでもらうボランティアです。関口団長や祐介先生が常に頭の中に入れているのは「危機管理」です。大の大人だけが参加するなら大きな問題は起こらないかもしれません。起こったとしても何とかやりきるのが大人です。しかしまだ保護の必要な高校生がいることで、その責任は計り知れないほど大きくなります。他国のしかもスラムですから、いつなんどき何が起こるかわかりません。たとえ起こったとしても、高校生に危害が絶対行かないようにしています。活動の前に活動のマニュアルを覚えてもらい、一糸乱れぬ団体行動が取れるように事前研修を最低でも5回は受けてもらっています。最初は大きな声を出すことさえ出来なかった高校生が、出発する頃には大きなハッキリした声で挨拶できるようになります。今の高校生達はスマホや、パソコンを相手にしていますから「声を出す」ことがありません。研修中に何度も駄目出しをされて泣き出す人も少なくありません。と言うより私の診療所に研修に来る高校生で一度も泣いたことが無い高校生はいません。それでも他国のスラムで何かあっては困るので、絶対に起こらないようにする訓練ですから、心を鬼にして研修をやり続けています。絶対に事故が起こらないために曲げないのです。今回のコロナ対策で、厚労省の出す指示の一貫性のないこと、初めてのことですから見直しや変更があっても不思議はありません。なのに今回の政府の対応に釈然としない点や、対応のまずさにイライラした人は少なくないのではないでしょうか。その上、もっと問題なのは結果が思わしくない時の対応です。まずは自分の説明や思いやりの無さを謝罪すべきです。あたかも国民の側に問題があるかのように責任転嫁しないでもらいたいです。この点もハローアルソンの関口団長と祐介先生とは大違いです。責任者とは間違いを起こさないことではありません。あった時、素直に謝ることです。逃げたり言い訳することではありません。素直に謝って、最善策に立ち向かう勇気をみんなに持ってもらえることです。
2020年5月15日
医学博士・歯科医師 林 春二