祐介先生、牟田さんこんばんは
いよいよ来週からゴールデンウィークが始まり、私たち一人ひとりの日々の過ごし方が問われる状況になってきましたね。
特にこの期間の外出や人との接し方が今後の日本のこれからを左右するといっても過言ではありません。
しかし、未だに国民が納得する補償なり、将来像が国から提示されないのでは、単に自粛や外出禁止をお願いしても、今を生きなければならない人たちいとってはそれこそ死活問題ともなっています。私の地元でも飲食店、特にお酒を提供するような場所は全てお店を閉めざるを得ない状況になってしまい、私の友人の店もここ数週間ほとんど収入がなく、自らの蓄えを支払いに回していると嘆いていました。
私たち歯科医療の現場も本当に危険な状況となっています。いくつか報道されているように飛沫感染リスクが最も高いのは私たち歯科の分野です。私の医院では器具の滅菌や消毒はもちろんのこと、待合室、ドアノブ、椅子などの定期的な消毒や待合室が3密にならないように駐車場での待機や随時院内の喚起を徹底しています。また、スタッフの健康管理や感染防止にも細心の注意を払っていますが、この最も危険性の高い現場が、今もっともマスクや消毒薬などが手に入らない状況になっているのです。報道では感染防止の医療の最前線で尽力されている医科の方々だけが注目されますが、むしろ、最も不透明で日々多数の濃厚接触をしている歯科医療に対し、速やかな材料の供給と対策をすることが、テレワークなど出来るはずもない先生方やそこに働くスタッフの安全を守り、結果的に患者さんや国民の健康を守ることにもつながるのではないでしょうか。
そんな中、私たちの現場もマスクが品薄になっていることを知ってか、先日私の医院の患者さんが、私を含め10数名のスタッフ、またその子供たちの分まで一人2枚ずつ手縫いのマスクを作ってくださりました。なんとうれしいことでしょう。その方は15年間毎月お口のお掃除に通ってくださり、毎年12月にはハロアルのために必ず1万円を募金してくださる方なのですが、更に私の袋には恐らくどこかの薬局で並んでやっと購入できた白いマスクが一枚入っており、「先生、こんな大変な時だけどがんばってね」と言って手渡してくださいました。また、最近テレビで「歯科治療が危険」という報道からその言葉だけが先行してしまい、とても不安になられながら通院される方もいらっしゃる中、今日も多くの患者さんから「先生、気を付けてくださいね」「先生、ありがとう」と感謝をされ、中には「先生こんなときに痛くなってすみません」と恐縮される方もいらっしゃいます。私はその言葉を聞くたび誰かの人生を支えることができる歯科医師になって本当に良かったと感じます。私にとって患者さんからいただいたこの手縫いの2枚のマスクはこれからの私の歯科医師としての大きな支えになりました。心がこもった2枚のマスク。誰かの既得権益が見え隠れするような2枚のアベノマスク。
今政治に求められるのはいったいどっちのマスクなのでしょうか・・・。
2020年4月24日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人