2020.03.13 関口団長のお便り

 

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

 

 

 昨日の311日であの東日本大震災から9年が経過しました。

 

144618秒、宮城県牡鹿半島(おしか)半島沖を震源とする観測史上最大マグニチュード9.0の大地震は現在までに死者15899人、行方不明者2529人、避難生活者約48000人という大災害を引き起こしました。

 

 9年という年月が過ぎても今もまだ、5万人近い方々が避難生活を余儀なくされていることに本当に心が痛みます。

 

 地震発生当時、その日は長男の卒園式でした。朝からどんよりとした雲に覆われ、せっかくの卒園式なのにと思いながら、卒園式も終わり息子が私の仕事場にやってきた正にその瞬間、突如今まで体験した事のない地鳴りと揺れが起こったのです。

 

そして9年後、奇しくも(く)先日の311日は長男の高校受験の合格発表でした。新型コロナウィルスの影響で今回はインターネットでの合否閲覧となりましたが、無事志望校へ入学することができました。私は喜ぶ息子を前に彼の努力を(ねぎら)うと共に彼に言いました。

 

「合格おめでとう。これからは高校生として更なる研鑽を積まなければならない。ところで今日は何の日か知っているか。9年前のあの震災でお前と同じように高校への入学を夢見ながら、災害によって沢山の若者の尊い命が失われた日だ。無念だったろうな・・。苦しかったろうな・・。今こうして新たな門出を迎えられることは決して当たり前のことではない。父はお前に彼らの分まで生きろとは言わない。軽々しく彼らの死をお前に託すことなどできない。ただ、こうして夢に向かうことができるお前だからこそ同じ彼らの犠牲を決して忘れず、夢を見るすばらしさ、ありがたさに心から感謝して、人は「生きる」のではなく誰かによって「生かされている」という気持ちを持って欲しい。

 

参加をしたハロアルボランティアでも同じ。あのスラムで壮絶な治療風景を見て何を学んだ?たった1本の歯ブラシを買えず、次々と歯を失う子供たちを見て何を思った?

 

今自分が置かれている環境がいかに恵まれ、当たり前と思っていることがいかに尊いか。

 

しかし、それだけでは何も変わらない。自分は多くの人たちに支えられていると感じたならば、自分も誰かを支える人間になれるように、3年間を一生懸命過ごしてほしい。」

 

 今、世間はコロナウィルス一色です。あれほど震災時、東北被災地に日本中が支援をし、分け与え、分かち合ったはずが、たった一言の嘘やデマに踊らされ、たった一つの咳やくしゃみに互いを疑心暗鬼する世の中になってしまいました。私は先週も書かせていただきました。「奪い合えばいつかはなくなります。分かち合えば必ずあまります。」

 

 これからこの見えない恐怖と闘わなければならない私たちがもう一度心をひとつにしなければ、犠牲となった多くの若者たちに顔向けできないのではないでしょうか・・。

 

 2020313日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人